買弁 独りファシズムVer.0.1

 [2013/02/27]
この時代における最強のビジネスモデルとはComprador(買弁)であり、つまり外国勢力に国民資産や公共資本を供出する媒介者がもっとも金を得るという仕組みだ。

慄然とするのは政治集団、経済集団、報道集団、官吏集団が、競って売国による私的利益の最大を目指す様相であり、民族社会の壊滅など一顧だにしないという近視眼的迷妄に他ならない。

アステカとインカを征服した尖兵者グループは、スペイン国王と「カピトゥラシオン」という植民地統治の請負契約を交わしたのだが、つまりこの国のエスタブリッシュメントもまた、グローバル資本に与する中間支配者として君臨を目論むという意思を鮮明に打ち出している。

あらためてTPPとは自国経済の行詰まりを他国市場の侵略によって解消するという、帝国主義の近代テクストなのであり、16世紀から連綿に引継がれる白人種のヘゲモニープロジェクトなのであり、多元文化主義を破壊し、生活世界に浸透する暴力行動であるわけだ。

メディアは作為的にラチェット条項、ISD条項など核心部分の報道を排除しているのだが、それにより投資家利益が国民利益を凌駕するのであり、関税自主権の撤廃に止まらず、条約が国内法を超越するという、国家主権の空洞化を意味することは語るまでもない。

ザリガニは生息密度の閾値を越えると、共食いをはじめる低劣な生物なのだけれど、彼らは最も無防備な頭部の甲殻を食い破り、まず大脳からすするとおり、「秩序」の本質が同類の知覚不能にあるのだと先験的に理解しているわけだ。

この社会でも文化的権力をもつ学識者が、率先して自由貿易を賛美し、衒学でもって暴力本質を隠蔽しつつ、知覚不能によって同胞を悲惨に追い込もうとしているのであり、すなわち我々の体系も等しくカニバリズムを本質としているのだと思う。

TPPによる経済発展という美麗なキャッチが喧伝されているが、おおよそ近代において自由貿易の受け入れとは、IMF世界銀行が対外債務を抱える破綻国家群へ強制する融資条項なのであり、多国籍企業が金融を武力として、経済市場と国家資源を略奪するという王道的スキームに他ならない。

市場が完全なものに近づくほど、市場の力は暴力性を帯び、生活世界が破壊されるというのは経済学の基礎的概念であるにもかかわらず、この社会では建前と本音という二重構造が執拗に秘匿されているのだから、あらゆる報道は幻覚的な見世物であり、文明の麻酔であると捉えなくてはならない。

原発事故によって東北・関東圏の食糧生産が壊滅状態に陥り、つまり都市国家ロジスティクス兵站線)が破壊され、すでに安全な生鮮食物の入手が困難化している状態で自由貿易を推進し、残された貴重な生産者を抹消しようというのだから、その狙いが穀物メジャーによる市場創出であることは子供が考えてもわかることだろう。

さらに被爆地児童から膨大な甲状腺異常が報告されているとおり、今後は世代間にわたる爆発的な疾患の勃発が不可避であるにかかわらず、保険・医療分野という国民生命に直接かかわる分野で市場原理主義を導入しようというのだから、行為は一条約の締結ではなく、一国家の終焉なのだと思う。つまり、この国ではリスクの定量化という概念すら成立しないわけだ。

70年代に壮絶なレッセフェール(企業利潤主義)が席巻したブラジルでは、保守系新聞が「改革を促進するためには国民精神の浄化が必要である」と論説し、思想統制を率先したのだけれど、破滅的な自由貿易を称揚するこの国のメディアも等しく狂熱に犯されているのであり、つまることころ彼らが唱導する未来像とは、自身の特権階級的な属性は担保されながら、失業や自殺あるいは児童買春が蔓延し、市民は安全な食料も適正な医療も得ることができず、貧困のドン底で死に絶えるような荒廃世界なのだろう。
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