最悪のケースは投票したい政党がいないので、棄権するという行動  岡留安則の「東京-沖縄-アジア」幻視行日記

■12月某日 12月4日の公示日を過ぎても衆議院解散総選挙はイマイチ盛り上がりに欠けている印象だ。あまり、選挙報道をやりすぎると、民・自・公や日本維新の会が次々とボロを出し、嘉田滋賀県知事率いる日本未来の党に支持・人気が集まるのを危惧しているのではないかといえば、勘繰りすぎか。今日のTVワイドショーも時間内は急逝した中村勘三郎(第18代)の話題だけに集中していた。通常はワイドショーも政治の話題をトップに持ってくるのに、今日は完全無視だった。勘三郎文化勲章まで受けた歌舞伎・芸能界の大物だから、仕方ないのか。だとしても、ワイドショー、ちょっとゲンキンすぎはしないか。まだまだ、有権者にとっては、どの政党に投票すべきか、迷いがある層も少なくないのではないか。公示後、民・自・公、日本維新の会の曖昧な政策路線と、脱原発、反消費税、反TPPを明確に打ち出した日本未来の党との対立軸は明確になってきた。みんなの党はともかく、新党大地新党日本日本未来の党との連携を打ち出している。
 今回の選挙は、小政党の乱立なので、そのことが有権者の投票行動に少なからず影響を与える可能性もある。民主党には絶望したが、ゼネコン行政復活を明確にしている自民党復権も支持できない。右傾化へシフトした日本維新の会も政策がブレまくり、信頼に値しない。そして、最悪のケースは投票したい政党がいないので、棄権するという行動だ。既に期日前投票も始まっているが、この段階で投票に行く人々は入れるべき政党がはっきりしている有権者だろう。例えば、公明党共産党のようにゆるぎのない政党支持者とでもいおうか。あるいは、熱狂的な日本維新の会の支持者や全国に配備されている公務員や自衛隊員たちもそうかもしれない。
 日本では解散総選挙、韓国では大統領選挙を控えたこのタイミングで、北朝鮮人工衛星と称する3段式長距離弾道ミサイルフィリッピン東の海洋に向けて発射するという。森本防衛省那覇、南城、宮古島、石垣の4市に対し、今年の4月同様に地対空誘導弾パトリオット(PAC3)の配備を検討することを伝えたという。人工衛星だか長距離弾道ミサイルだかよくわからないが、この時期に発射することの政治的リスクは高い。そのおかげで、沖縄はまた準戦時体制の緊張の日々を強いられる。味方にすべき日本人まで敵に回す北朝鮮の軍事・外交戦略には首を傾げざるを得ない。やはり、不思議な国家だ。
 最後に、沖縄の解散総選挙にも触れておこう。沖縄には4つの選挙区がある。那覇市が主体になる1区は下地幹郎(国民新党)、国場幸之助(自民党)との一騎打ち。2区の浦添宜野湾市照屋寛徳(社民党)、宮崎政久自民党)という弁護士同士の一騎打ち。3区の沖縄、名護市は玉城デニー(未来)、比嘉奈津美自民党)、4区糸満南城市瑞慶覧長敏(無所属),西銘恒三郎(自民党)の一騎打ち。1区は、国民新党の下地氏が民主党と連立を組み、閣僚の一員として辺野古新基地とオスプレイ配備を容認したことが、結果にどう出るか。沖縄では下地氏に厳しい選挙といわれている。2区は新旧の弁護士対決だ。世代交代なるかどうか。3区は未来の党玉城デニーがどこまで新党名を広めるか、にかかっている。4区は3年3か月の浪人生活を送った西銘氏が無所属の瑞慶覧氏を制するかどうかだろう。沖縄でも日本維新の会は4区すべてに候補を立てたが、沖縄に無関心な政策からみても泡沫候補に終わる公算が強い。
 まだまだ先の長い選挙戦だが、「これぞ、イチオシ」という候補が見られないことから、投票率の低下が危惧される。あ、照屋寛徳氏の応援に来た佐高信氏と宜野湾市のラグナガーデンホテルで久々に会談を持つ。照屋氏は新里米吉、山内徳信といった「参謀」と一緒だった。若手の宮崎弁護士を制することが出来るかどうか、注目の2区対決でもある。
2012.12.05