有権者に明確な選択肢を与えるリベラル系第三局は日本の政治に必要不可欠  岡留安則の「東京-沖縄-アジア」幻視行日記

■11月某日 今日の沖縄は雨雲が低く垂れこめて、視界が悪い。そんな天候だからというわけか、午後2時過ぎから夕方の間にMV22オスプレイが12機以上が筆者の住む新都心の上空をヘリモードで飛んでいた。最近は音を聞いただけでオスプレイの聞き分けが出来るようになった。それほど頻繁に危険な人口密集地である那覇市の上空を飛んでいることになる。低く垂れこめた雲の間を飛行し、機体の姿が見えなくなることもしばしばだった。150メートル程度まで雨雲が下降する天候じたいが珍しいので、この際とばかり、有視界飛行ではなく、レーダー飛行の訓練を集中させているのではないか。いわゆる夜間飛行訓練を昼間のうちにやっちゃえ!という印象を受けた。
 現在、普天間基地に強行配備されたオスプレイは全部で12機だ。筆者が現認した12機以上の数が正しければ、普天間所属のすべてのオスプレイが飛行したことになる。しかも、本島内をグルグル巡回飛行しているのではないか。航路はほぼ決まっている。慶良間諸島方面から飛んできて、那覇港から新都心、そして普天間基地方向に向かっている。いずれも、市街地の飛行はなるべく避けて、ヘリモードで飛ばないという日米合意を無視した訓練飛行だ。沖縄にオスプレイが配備されてから夜10時以降の飛行も10数回に及んでいる。これも日米合意無視だ。
 米軍としては計画的な確信犯的な行為という事だろう。にもかかわらず、政党が乱立する次の解散総選挙では、日米地位協定を公約に掲げている政党はあるが、オスプレイ配備反対を掲げている政党は社民党共産党くらいのものだ。選挙の争点には全くあがっていないのだ。想定したくないが、オスプレイの墜落事故でもない限り、オスプレイの危険性が全国的なテーマになることはないのだろう。つい最近も米兵による集団レイプ事件の後、家宅不法事侵入・暴行事件以外にも、米兵の脱走事件まであった。在日米軍基地の74%押し付けられている沖縄の歴史的な悲劇と差別はいまだに解消されていないのだ。
 解散総選挙の前哨戦はすでに12月4日の公示日を待たずして始まっているが、メディアの報道にも問題点は多い。代表的な例は、民主党自民党が二党だけで強行しようとしている党首討論だ。安住幹事長代行は「インターネットのような偏ったメディアではなくテレビでやるべき」と主張している。他の政党など関係ないというフザケた言い分だ。まだしもインターネットでと提案している安倍総裁の方がマトモな感覚ではないか。野田民主党としては、安倍総裁のマトモでない国防軍構想や日銀の無制限の金融緩和、公共事業200億円(今後10年間)投入で論戦したいのだろうが、どちらも消費税増税賛成であり、争点を経済政策にシフトしようという魂胆がミエミエだ。世論調査で、次の総理は野田、安倍のどちらがふさわしいかなどという質問をするNHKなどの大手メディアも不可解だ。
 第三局として何かとテレビ的な話題を振りまく日本維新の会の動きが注目されているが、橋下代表代行も脱原発を棚上げし、TPP賛成、消費税増税を地方交付金へという増税路線。小選挙区の候補も予定の半分で、しかも候補者は自腹で、タマも悪い。選挙のための野合で橋下ブレまくり、石原代表はやる気喪失の印象だ。候補はジャンケンで決めればいいと放言したことで維新の会とみんなの党との連携もギクシャクしてきた。そして、ようやく注目を浴び始めたのが、嘉田滋賀県知事を選挙の顔にして連携する「国民の生活が第一」や「みどりの風」などの脱原発、消費税増税反対、TPP反対で政策が一致するリベラル系の第三局の浮上だ。新党旗揚げはともかく、選挙対策で徹底して連携し、「日本版オリーブの木」構想につながっていけば、少しは日本の政治にも希望が持てるのではないか。前回も書いた通り、ここは選挙に強い小沢一郎の最後の政治手腕の見せどころだろう。日々変わる政界の勢力図だが、大手メディアがいくら小沢妨害キャンペーンを張ろうとも、有権者に明確な選択肢を与えるリベラル系第三局は日本の政治に必要不可欠だし、脱原発と反消費税で各メディアの予想以上の支持が得られると確信している。
2012.11.26