森田実の言わねばならぬ/平和・自立・調和の日本をつくるために【830】

 《今日の論点(2)》孤立する日本/世界中からバカにされている野田政権/「なぜ野田首相尖閣国有化という愚かすぎる選択をしたのか」との外国通信社からの質問に答えて私(森田)が語ったこと 

「要職にある凡庸な人が危機に際して下した無造作な決断が、百年ものあいだの諸事のなり行きに影響をあたえる」(トーマス・ハーディ)

 ヨーロッパの通信社の記者から電話取材を受けた。質問は以下のようなことだった。
 「野田政権は、なぜ、いまの時期に中国との関係を悪化させる尖閣諸島の国有化というバカなことをしたのですか? 民主党は2009年夏の総選挙において中国、韓国との関係を改善すると公約しながら、中国、韓国との関係を日本の側から悪化させています。ヨーロッパの政治では考えられないほどの愚かなことをしたのですか?」
 私は次のように答えた。
《根本的には野田首相、玄葉外相、藤村官房長官らが、外交を行うには幼稚すぎて、力量がなく愚かなことが原因だ。その上、最近のメドベージェフ・ロシア首相の北方領土訪問、李明博韓国大統領の竹島上陸と反日的言動、石原慎太郎東京都知事尖閣諸島買い取りの大パフォーマンス、マスコミの石原支持と反中国キャンペーンのなかで、野田首相らが正気を失ってしまった。
 とくに大きいのは東京の大マスコミが反中国キャンペーンを行ったことだ。このため、日本国内において反中国感情が広がった。
 野田首相らは、中国と敵対すれば、反日的言動を強めて人気回復に成功した李明博韓国大統領と同じように支持率が上がるのを期待して、中国との対決を選んだ面もある。
 さらに、米国、日本、台湾のなかに、日本を中国と対決する国に仕上げるため陰謀をめぐらしている秘密グループが存在し、その秘密グループに動かされた結果、野田政権は日中対決に踏み切ったという見方もある。いま、これらの秘密機関員は「うまくいった」と祝杯を挙げたという話も耳にしている。
 私は、このあいだ日本の地方都市で講演し、その地の経済人と懇談しているが、日本の中小・小規模企業者のなかに「中国と戦おう! 戦争しよう!」という声が急激に高まってきている。きわめて危ない状況が生まれつつある。
 1930年代に軍国主義に走った当時の日本と似た状況が現にある。日本は、野田民主党政権のもとで、戦争に踏み切るおそれが出てきている。危ない時代になったと思う。
 日本と中国との関係が断絶すれば、日本経済は急落することは避けられないと思う。日本は中国、韓国などのアジア諸国から孤立する。経済危機は深刻化する。国内では「戦争論」が高まってきている。危ない状況になってきている。
 この責任は、野田首相、玄葉外相、藤村官房長官ら野田内閣が負わねばならない。野田・玄葉・藤村体制では中国政府と話し合うことすらできない。日中関係修復のための第一歩は、野田内閣の総辞職から始めなければならないと思う》