こんな国に誰がしたのか、メディアは率先して総括すべきではないのか。 岡留安則の「東京-沖縄-アジア」幻視行日記

■9月某日 中国における反日運動は激しさを増している。野田政権が尖閣諸島を民間人から買い上げて国有地としたことへの反発が発端である。日本大使館だけではなく、パナソニックトヨタ、イオン、ユニクロといった日系企業から日本料理店までデモ隊に放火・襲撃され、中国に滞在する日本人にも身の危険性が迫っている。中国の漁船団が1000隻規模で尖閣諸島に向けて出漁したとの報道もあった。当然、中国の監視船も漁船団に同行するはずだ。実効支配を主張している日本の海上保安庁の監視船も万全の態勢で迎撃する方針だという。福岡の中国総領事館に右翼が発煙筒を投げ込む事件もあった。まるで、一触即発の戦争前夜のような雰囲気だ。日本の満州国建設の発端となった柳条湖事件の記念日でもあり、反日感情はさらに盛り上がる可能性がある。
 こうした日本国家の非常事態にも関わらず、民主党の代表選と自民党の総栽選は真っ只中。メディアも国民には関係ない党員・サポーターだけの選挙にも関わらず、政局並みに連日の大報道。呑気なものだ。次の衆議院選挙の結果次第では、この二大政党の中から総理が選ばれる可能性が高いだけに各候補とも必死なのだろうが、国民目線で言えば、白々しい限りだ。結局、各候補とも自分が総理大臣になりたいだけという本音が透けて見える。今、「炎上中」の中国には外務省の日本大使はいない。伊藤忠商事から初の民間大使に選ばれた丹羽宇一郎中国大使は解任され、後任に選ばれた西宮伸一大使は就任直前に突然の病死。大使不在の中で北京の文化広報の担当者で日本公使だった人物がダブル不倫疑惑でワシントンへの異動が発令された。政治家も官僚も国民を鼻っからバカにしているのではないのか。こんな国に誰がしたのか、メディアは率先して総括すべきではないのか。
 大型の台風16号通過と同時にやってきたのが、米国のパネッタ国防長官。既にオスプレイ岩国基地での訓練開始と普天間基地への強行配備を決めたというサインである。実に招かざる客人である。日米合同委員会でオスプレイ配備の安全性に関して検討していたはずだが、先に結論ありきだったのだ。特に、政府の懐柔と振興策もあって、岩国市議会では訓練開始に容認する方向性を打ち出している。政府との関係がこれ以上こじれないように協調するという姿勢の背景には岩国基地から民間機が年内発着するアメを選択したのだ。米軍の厚木基地から空母艦載機59機の受け入れを岩国市が決めた時点(08年)で、日米両政府はオスプレイの日本上陸の基地と決めていたとみるべきだろう。危険な米軍機配備に反対するよりも地元活性化という経済効果、振興策を選択したという事だろう。選挙対策がミエミエだとしても、民主党が30年代の原発ゼロの基本方針を打ち出したばかり。しかし、稼働前の青森県大間原発の地元が起動を要請すると、枝野計算大臣はすかさずGOサインを出す。地元も地元だが、枝野も枝野だ。この国の機能不全ぶりは末期的だ。
 パネッタ国防長官は、尖閣諸島日米安保の守備範囲内だが、領土問題は当事者同士で平和的に解決すべきだと発言して、中国訪問の為に出国した。抑止力も嘘なら、米国は中国とも折り合いをつけなければならない、常にダブルスタンダードが国是なのだ。結局、オスプレイに関しては回転翼の転換はなるべく基地上空で行う、夜間離発着を減らす、操縦士の練度を上げるなどという信じがたき言い訳を並べている。沖縄の米軍基地では騒音も夜間発着も外来機の飛来もやりたい放題なのだ。嘉手納基地がそうだ。一方、日本本土6か所での低空飛行訓練は日本の国内法にそって最低高度150メートル以上で行うなどというのは、明らかな沖縄「植民地」差別である。防衛官僚の入れ智恵なのだろう。しかし、沖縄の民意は完全NO!である。この際、米国海兵隊の訓練ローテーション基地が決まっているオーストラリアのダーウィンオスプレイを持っていったらどうか。オーストラリアは国土も広いし、いまどき海兵隊を受け入れる奇特な国なのだから。既得権益にしがみつく日本の防衛官僚の妨害など一切無視すべし、である。亡国防衛官僚は日本を潰すつもりなのだろう。ふ・ざ・け・る・な、売国奴たちよ。
2012.09.18