野田総理の吐いた「米国の配備について日本がどうこう言う筋合いではない」という発言には驚いた。  岡留安則の「東京-沖縄-アジア」幻視行日記

■7月某日 プレオリンピックも始まったが、それを楽しむ気分にもイマイチなれない。オスプレイ配備に関して、沖縄の県民世論は圧倒的に反対である。オスプレイが陸揚げされた岩国基地でも市民の抗議デモが展開された。いずれ、日本本土の山間部でも超低空飛行訓練が行われる手筈になっている。米国での低空飛行訓練で、木がバタバタなぎ倒されるシーンを見た人も多いだろう。あのような状態が日本でも起きれば、米国との信頼関係が崩れ、日米安保そのものも揺らぎかねない。危険なオスプレイを日本国内から排除するには日米安保同盟の廃棄か、日米地位協定の抜本的改定しかない。しかし、日米両政府にとっては、国民の命よりも米軍の軍事戦略が最優先のようだ。むろん、背後には米国の軍産複合体という「死の商人」たちが利権をめぐって蠢いている。この連中は、いずれ、日本の自衛隊にもオスプレイを売り込む算段のようだ。
 こうした中、ドサクサ紛れのように発表されたのが、F22ステルス戦闘機の嘉手納基地への暫定配備である。米本土内の一個飛行隊を派遣するという。ステルス戦闘機は操縦士や整備士に低酸素症とみられる症状が相次いだため、米国での飛行を制限していたが、それを嘉手納基地に配備するのだという。ふざけた話ではないか。沖縄はゴミ捨て場のつもりなのか。少なくとも、米国やハワイに配備されているオスプレイは、海側に面した基地や砂漠の中といった、人家のないところで飛行訓練すると聞いた。沖縄に関しては関係ないというのが日米両政府の判断なのだろう。 
  しかし、野田総理の吐いた「米国の配備について日本がどうこう言う筋合いではない」という発言には驚いた。日本は米国の支配下にあり属国という事なのか。お互い主権国家なら対等な外交交渉を通じて民主主義的な話し合いをもつべきではないのか。民主主義の御旗を振りかざして、世界の非民主杉国家に戦争を仕掛けたり、空爆したり、武力で黙らせるやり方は米国の正義なのか。ホントに。オスプレイ強行配備ならば、沖縄県民は命の自営の為に、目には目を歯には歯の精神で立ち向かうしかないのではないか。あるいは、オスプレイが海中や人家のない山林に自爆して墜落してもらうしかない。
 毎度毎度だが、原発しかりだ。大飯原発で2機の再稼働が開始され、すでに臨界点に達している。しかし、福島第一原発の真実はいまだに解明されていない。事故調の調査を受けてようやく刑事罰を科すことが出来るかどうかの検討にはいった。大飯原発では免震棟やフィルター、防潮堤の建設を先送りし、地下には活断層の亀裂が入っている疑いも強いのに、これも先送り。それでも、原発を無理やり稼働させるという事は人命は二の次、三のつぎという国家の意志が優先されているのだ。おそらく、仙谷政調会長代行あたりは、日本の原発を次々と再稼働させ、予定通りベトナムなどの後進国原発を売り込む算段なのだろう。米国同様、「死の商人」への途である。自民党ですら躊躇した政策を臆面もなく打ち出す民主党野田執行部は国民の意志など関係なく、自分たちの権益を拡大するために対米追従しているのだろう。ま、米国と霞ヶ関に従っていれば、間違いないと思い込んでいるかのようだ。しかし、ここで決定的に欠けているのは選挙で試される民意に対する配慮がまったくないことだ。
 国会を取り巻く反原発デモもようやく、これまで黙殺してきた大手メディアも取り上げ始めたが、これも民意を無視できなくなったことの証明だろう。8月5日には、沖縄の宜野湾海浜公園オスプレイ反対の大集会が計画されている。沖縄も組合の動員だけでなく、フェイスブックやツィターの呼びかけに呼応した一般市民が数多く集まり、日米両政府に強い抗議の意思を示すときではないのか。いや、もう最後のチャンスというべきかもしれない。
2012.07.27