民主党もいよいよ崩壊の局面に突入 岡留安則の「東京-沖縄-アジア」幻視行日記

■7月某日 歴史的な政権交代から3年を待たずして、民主党もいよいよ崩壊の局面に突入した。民主党衆議院ではかろうじて過半数は維持しているが、参議院から12名が離党したことで、自民党公明党に完全にキャスティングボードを握られた。小沢元代表とともに離党から新党への道を選択しなかったものの、消費増税の先行採決に反対の意思を持つ民主党員は少なくない。鳩山元総理には6か月の党員資格停止処分、他の12名には党員資格停止2か月の処分が下された。これ以上の離党者を出さないための見せしめ処分だろうが、なんとも中途半端な処分というしかない。野田政権執行部の苦悩がにじんでいると見ることができる。特に参議院12名の離党者には離党受理だけで、処分なし。参議院ではこれから消費税増税の採決が待ち受けているために、そのあたりを考慮しての穏便な処分という事だろう。
 しかし、それにしても、民主党政権交代の最大の功労者である小沢元代表に除籍処分、鳩山元総理に6か月の党員資格停止処分を科すという野田政権の独裁的な冷酷さはどこからきているのか。小沢元代表の離党で、逆に強気に民主党の再建を主張する玄葉外相、野田総理、前原政調会長らは松下政経塾上がりである。自慢じゃないが、「噂の真相」は04年3月に出した4月休刊号で、「松下政経塾に気をつけろ!」という特集記事を企画し、「最後の警告」を発している。あれから、8年目にしてそれが現実となった(自慢か、笑)。
 公約を自ら放棄して消費税増税をぶち上げて自滅した菅前総理はともかく、政権交代時の国民との約束を守っているのは、小沢、鳩山の両人である。松下政経塾出身の連中を自らの権力保持の為に利用して小沢追放を一貫して画策してきたのは、仙谷政調代行である。表に出ないで裏で暗躍してきた人物だけに、小沢、鳩山両人のような権力ぐるみのバッシングを受けることはなかった。まさに、黒幕である。官僚とも手を組み、原発再稼働、海外への輸出を目論む仙谷の野望とは一体何なのか。
 つい先日、石垣島に来たついでに、那覇市内に立ち寄った一水会木村三浩代表と沖縄居酒屋「抱瓶」で語り会った。若松孝二監督の「11・25自決の日 三島由紀夫と若者たち」の映画の話から尖閣問題、オスプレイ話までいろんな話をした。新宿ゴールデン街時代以来、久々の長時間トークだった。一水会三島由紀夫の自決に刺激を受けて鈴木邦男氏が立ち上げた新右翼の団体で、機関紙は「レコンキスタ」。右翼系の機関紙とは思えないリベラルな紙面づくりで、筆者も沖縄問題で二回ほど寄稿したことがある。雑誌的な多彩な紙面づくりで、メディア関係の読者も多い。元東大全共闘の仙谷氏はこの若松孝二監督の映画でも見て、少しは学生時代の思いを想起してみたらどうか。今や、仙谷氏は単なる転向者のレベルではなく、確信犯的な保守・反動の策士である。木村氏とhとは、オスプレイの配備は絶対に許せないという事で意志一致。原発再稼働反対も意志一致。一水会は、反米愛国路線だから、その点は筆者の立場と齟齬はない。沖縄県民の気持ちのかけらも理解しない、仙谷、野田、前原、玄葉、岡田、森本大臣らは完全な亡国の民である。官僚たちがいかに日本の歴史を歪めてきたか、知らないのだろうか。紛れもない民主党分裂のA級戦犯たちである。
  小沢新党の先行きはまだ見えない。しかし、消費税増税反対できちんと筋を通した政治姿勢には拍手を送りたい。メディアの執拗かつ悪意ある小沢バッシングは呆れるほどだが、反消費税、反原発、ついでに反オスプレイ、反TPPで総選挙を戦えば、権力亡者と優柔不断な連中が同居した民主党には必ず勝てるはずだ。それが、民主主義であり民意というものである。
2012.07.04