海兵隊は普天間基地に居座る 岡留安則の「東京-沖縄-アジア」幻視行日記

■5月某日 沖縄は復帰40年を前にメディア報道や各種イベントが活発に行われている。5・15平和行進も始まった。5月15日の沖縄コンベンションセンターで行われる復帰式典も例年にない力をこめたイベントになりそうだという。沖縄の普天間基地に対して思考停止の発言しかしていない野田総理以下の政府来賓も政府専用機でやってきて、式典のみ参加して帰京する予定だという。一方、沖縄側では、大田昌秀元知事は不参加を明言しており、糸数慶子参議院議員も不参加の方向で検討中だという。これは「本土復帰」が、必ずしも沖縄県民にとっては手放しで喜べない40年の歴史だったことを物語っているという事だろう。
 復帰40年経っても、いまだに在日米軍基地の74%は沖縄に集中しており、世界一危険な普天間基地は、今後8年間にわたり改修工事に踏み切る計画が打ち出されている。ということは、普天間の代替施設として辺野古沖に新基地を建設しない限り、海兵隊普天間基地に居座るという心算なのだろう。しかし、辺野古新基地建設は県民の8割が反対しており、実現の目途はまったくついていない。仲井真県知事すらも辺野古は不可能とまで言い切っている。となれば、普天間基地の固定化になりかねない。しかも、普天間には欠陥機との見方が消えないオスプレイが配備される予定だ。ラムズフェルト国防長官が、普天間視察の折、世界一危険な市街地にある米軍基地と認定した普天間基地に、欠陥機が配備される。沖縄県の民意を無視した野田政権のヤリクチが認められるわけがない。米国議会でも辺野古移設に懐疑的な声が出ており、日米両政府が切り札として使ってきた「抑止力」に関しても疑問の声が米国の議員や学者からも出ているというのに、である。
  一応触れておきたいのが、小沢一郎氏が検察審査会が指定した弁護士による裁判で無罪判決を勝ち取った件だ。この裁判により、党員資格を停止されていた小沢氏も復権することが決まった。大手メディアや自民党はこの小沢復権にあれこれイチャモンをつけているが、検察による不起訴処分や、検察審査会による裁判でも無罪を勝ち取ったのだから、ほめたたえてしかるべきである。検察が証拠を偽造してまで、検察審査会を起訴に誘導した疑惑も持たれている。そうした中で、検察審査会による検察官役の弁護士3人は、判決を不服として控訴に踏み切った。新証拠が出てくる可能性は限りなくゼロだというのに、裁判所の判決文の解釈をめぐって争うつもりのようだ。それでも、裁判所が控訴棄却を判断するまでに一年近い日数を要するはずだ。これで、小沢氏が秋の民主党代表選に自ら出馬する可能性は大きき制約されるだろう。検察の暴走を防ぐためのチェックシステムだったはずの検察審査会が一人の政治家の政治生命をいとも簡単に抹殺することが出来るシステムというのも不可解である。早急に再検討すべきである。検察のリークとメディアの大キャンペーンによって巨悪のイメージをつくられた小沢氏だが、容疑は政治資金規正法違反である。4億円が騒がれたが、これは、起訴の対象ではないのだ。政治資金規正法違反はほとんどの政治家に心当たりがあるはずで、これまでは事後修正で事足りるという形式犯レベルの微罪である、という事の本質を認識しておくべきである。
  それはともかく、本日も沖縄大学で「日本復帰40年を問う」というシンポジウムが開かれる。パネリストは上原康助,古賢実吉、白保台一、仲本安一、西田健次郎、吉元政矩といった、沖縄の政治家や県議などを務めたベテランたちだ。その後、「復帰40年 いま沖縄戦をふりかえる」という「朗読シアター」に参加する予定だ。こちらはNHK沖縄のアナウンサーやキロロの玉城千春らが出演する。東京に住んでいたら、復帰40年をここまで深く意識させられることはなかったのかもしれない。あ、忘れるところだった。復帰40年の5月15日、ニコニコ生動画の沖縄からの発信は、夜9時が8時に変更になり、前倒しになりました。司会は角谷浩一氏、ゲストは吉元政矩元副知事と筆者です。
2012.05.12