梅干し

   『梅干し』         
梅干しは赤くて美しい
紫蘇の紫に染まるからだ
梅と紫蘇の触れ合いの色
 梅干しは生活の匂いだ
 ちっとも文化的ではないし
 さほど歓迎されるでもない
台所にポイと梅干しがあれば
そこはいかにも家庭的になる
お握りの時の出番くらいだが
              
[梅干し] 梅干しをほぐしてお握りの中に押し込み、海苔で巻いて食べれば、少々食欲が無い時でも食べられる。これは和食という料理に入るのかどうか知らないが、野外食ともなれば、いかにも欠かせない最高級品になる。
    『秋晴れや握りの海苔はつややかに』
 いつでも出番があるのではないが、それでも用意されているものがあって、私たちの日常は成り立っているのかも知れない。自分の出番も大切だが、時には自分が陰の存在になる事で喜び、満足出来る事も生き方では必要だ。               田辺聖恵