釈尊の聖言 「修道者シャモン」

 釈尊の聖言 
 シャモンは欲を断ち、愛を去り、わが心の源を知り、ブッダの深き大智に達し、無為を覚り、内に得るところなく、道につながれず、業に結ばるることはなし。 思念なく、なすことなく、修むることなく、覚ることなくして、おのずから気高く尊きが道なり。
 シャモンは世の宝を捨て、乞い求むることによりて足るを知り、一日に一食し、樹のもとに宿り、行いつつしみて罪を犯さぬなり。
「修道者シャモン」
 シャモンとは自由修道者である。従来の神秘宗教にあきたらず、いわば自分の納得する道を求めての宗教生活者である。そこには地位とか伝統とか権力とかの世俗的からの脱出である。
 又内面からの束縛、愛着や物欲、安楽幸福からの脱出である。托鉢による一日一食、もし得られなければその日は食わないという食欲からの解放。
 一日の大半を樹下で静思し、雑念妄想からの脱却。夜分は枯葉を敷きものにしての野宿。こうして教えられた縁起真理との一体化、経験なきものが味わいようもない大歓喜に入ってゆく。
 こうしたシャモンは釈尊の直弟子となり、教団者の一員となりサンガという和合衆を形成する。かくてサンガは三宝の一つなって世人の尊敬と供養を受ける。これが釈尊仏教の修道者の基本型である。それは何たる気高さ、礼拝をせざるを得ない真の宝である。  田辺聖恵