釈尊の聖言 「ビクと商人」

 釈尊の聖言 
 三つの素質とは昼も夜も仕事に熱心ならざることなり。ビクにして朝、サマーディに従わず、昼もサマーディに従わず、夜もサマーディに従わざれば、未だ得ざる功徳を得ることなく、すでに得たる功徳を増すことかたし。ビクらよ、商人に見る眼あり、仕事に熱心にして保護者を得るなれば、たちまち大いなる富を得るなり。その見る眼とは商品を知り、その買い方と売り方を知ることなり。仕事に熱心とは、商品を品沢山の地方より買い、品うすの所にて売りさばくに巧みなるなり。…
 「ビクと商人」
 考える要領に類推と比諭というのがある。俗的なご利益があるかないかで選ぶのが今日でも流行している。所が釈尊の目玉商品はこれが無い。しかも持っているすべてを投げ出して、出家してまで求めるという強力な商品、その覚りをどうしたら求める気になるだろうか。
 先ず自発性によらねばならない。それはよりよき理解から生じる。そのよき理解を得させるために、釈尊は種々なたとえ話などをなさる。商人と商品でたとえ話なさるのは、物々交換の時代から、貨へい経済、つまり合理性によっての商業時代になってきているという事だ。
 この合理性が、人間の存在価値へ向かうようになって、情緒的信仰では満足出来ない人々が輩出し出したという事だ。これが何と二千五百年前の事である。経済大国性から一歩も抜けられない現代日本と比較すると、何とも恥ずかしくなるのではなかろうか。