釈尊の聖言 「人天の師」

釈尊の聖言 「人天の師」
ビクらよ、この世界に多くの人々の利益と幸福の為に現わるる二人あり。如来と転輪王なり。
この二人はまた人間の師として世に現われ、この二人の死は多くの人々の悲しむ所なり。
この二人は塔を建つるにふさわしきものなり。
 「人天の師」
◎如来とは宗教的生活の理想者。転輪王とはすぐれた王、政治的生活の理想者である。この二人は世の中の乱れに応じて出現するという云い伝えがある。社会の混乱時に、すぐれた政治家や宗教者が現われるのは歴史が示す事実である。そうした二人を今日見ないという事は、まだ混乱が足りないという事なのか。
◎ここに云う利益と幸福は、真実に根ざす、あるいはそれをめざす方向にあるものである。少欲知足の浄福和合の事。つまり現実の変革が含まるものとせねばならない。その為には現実の世界に姿を現わす、まことの師となるものでなければならない。観念事ではない。塔を建てるにふさわしい−とは、事実社会の精神的、政治的変革をもたらすが故に、尊敬に価いするという事。そしてこの二つは一人で兼ねるのでない事だ。