釈尊の聖言 「邪魔」

釈尊の聖言 
 五つの邪魔を除き、五つの束縛を解かざれば、熱心になれず、忍耐が起きず、努力がなされず、教えの道に進むことなし。
 五つの邪魔とは、第一に、師に対して疑いを抱き信仰を持たず、第二に、正法に惑うて信仰を持たず、第三に、サンガに対して疑い信仰を持たざること。第四に修学に惑うて信念なく、第五に、同学者に対して心をいらだたするなり。
「邪魔」
◎仏教とは自分との闘いと云ってよいかも知れない。それは自己からの発心(自発心)から成り立つ。自己をぬいた向うの方の話ではない。精進(努力)と云うものが尊重される理由がそこにある。努力は自力だからいけないとする考え方もあるが、それは難行苦行をあやまりとするので、安易さを良しとするものはない。
 ここに種々のさまたげが上げてあるが、釈尊の人間心理の分析の見事さに感心せざるを得ない。さてブッダヘの信仰とすべき所が、師になっている所に注意をせねばならない。釈尊はブッダ(完成者)であり師(正導者)であるから私は理想者と称する。正導を受けつつ信仰するのである。師を同じくする者に対して、心をいらだてるなとは、また何という親切さであろうか。釈尊はまさによく人を知られた方ではある。自分をさらけ出すより外はない。