原始仏教講座 第四講 その十三

第四講 その十三

だからそれは精神、心の動揺、どうなんだろうか、どうなりたいとかいうような心の動揺が静まった状態。だから静かなんですね。しかし単なる静かではなくて、尊い静かな状態である。尊く静かなりと。この尊くは私が七語調にあわせるために意味合い上付け足したわけです。これは漢文では諸行無常、諸法無我、涅槃寂静と訳されているわけです。漢文では間違いやすいので私が現代語に解釈し直した所で表現しているわけです。これが仏教の特徴です。だから仏教の特徴は何かというと、固定した魂というものを中心にして物事を、人間を考えるのではないということです。ところがそれがそういうふうになっていない。仏教の中心点は執着を離れ、とらわれのない境地になるということをめざしているような表現になります。だから魂の話しは抜けてしまう。一方では死んでからお浄土に行くという話になる。では何が行くのか。魂が行くのか、ではその魂はどういうものかという話しは抜けている。ただお浄土に行って往生する、あるいは成仏するという話になるから、魂なのか何だか分らないというようなことで話しが成り立っているんですね。そこが、その曖昧さが現代人にはっきりアピールする所がなくなっているんじゃないかと思います。そういう反省が今後必要だと思います。

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