「真理法の宗教」 変化・互恵

  変化・互恵
すべてのものが相関々係にあるということは、お互いが影響しあって変化せざるをえない、常にお互いが新しいものになってゆくということである。これが「変化」という根本真理。もし変らないなら学校教育などまるでムダ。遺伝子はやたらに変りはしないが、それでも、生活している間の知識・経験がくりこまれてゆくのであるから、長い間には少しづつ変ってゆく。動物園のゴリラは子供を産んでも育て方が分らず、逆さまにだいたりするという。そこで別の親猿を母子連れてきて学習させると、まともにだくようになる。

高等動物になるほど本能が少くなり、学習(教育)の要素が多くなってくる。つまり生物はすべて変化の真理のまゝに教育されつゝ変化することによって生きついでいるのである。従って民主主義という人間集団もこの変化の真理を根底にしないと、絶対の思想・主義といったもので己を固定し、束縛してしまい、ついに、大変な重圧にあえいだあげく、自己破壊をしてしまう。毛沢東は「永遠の革命」であると云った。革とは変える、変わるということである。政治形態そのものが、そうやたらに変っても困るが、一つの体制も常に向上的に変らねば、已の本質に反して苦しむ。

今日の日本の苦しみ、混乱は、日本的民主主義へと変り切れないところにある。なるほど福祉思想を取り入れていくらか変りつゝある。しかし、富者・強者のあり方、つまり奉仕性が導入されない限り、日本的民主主義は醸成されない。

「変化・互恵」これは仏教の縁起法という真理内容の云い方を現代風にしたもので、これはまさに、いつの世でも、どこの場所・国にでも通用するものである。だから真理と云われる。

仏教がこの真理を中心にするものであるということが、全んど強調されず、人格的な仏けのお救いの慈悲心だけを説くのでは、そこにまでゆきつく説明が略されるので、いわゆる理解をしようとする者には不向きとなる。(浄福 第40号 1976年12月1日刊)        田辺聖恵

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