Metropolis New!  独りファシズム

2013/01/02 00:24
慄然とするのは国会という機関が国家利益と国民福祉ではなく、他国の利潤とインセンティブ(成功報酬)を目的化していることだ。

彼らが推進しようとしているのは構造改革に続くレッセフェール(無軌道経済)の第3次的政策なのであり、つまり経済市場を全領域的に多国籍企業へ開放する行為であるのだが、これはすなわち国家主権の委譲に等しい。

グローバリストの常套手段とは民営化、資本規制の撤廃、労働者の非正規化、フラット(一律)税制、関税障壁の撤廃、多国籍企業の優遇であるのだが、これらの大半は過去10年において進捗しているのであり、つまりTPP批准による貿易の自由化によって支配は絶対化されるわけだ。

脅威とは脅威そのものよりも、何が脅威であるのか認識できないことなのかもしれない。

すでに2000万人労働者が非正規というカーストの最底辺に与され、1000万人が年収200万円以下の貧困層に陥り、生活保護受給者は200万人を突破しているのだが、その淵源を理解されているだろうか?

小泉改革が推進した会計制度により、企業群は資産評価を簿価から時価での算定を義務付けられたのだが、そのため2003年度の期末にはバランスシートが劣化し、資金調達のため大量の株式が売却され、株価は7000円台まで暴落した。

なお「時価会計制度」は、その破壊性ゆえ米国ですらリーマンショック以降は停止されているというシロモノである。

外資は株価が底値に達した時点で一挙に取得し、主用企業の過半数株式を制圧したのであり、今や東証の取引75%が外国人によるものだ。小泉政権多国籍企業により編成されたEconomic Hitman(経済傭兵集団)であったことは語るまでもない。

2003年の「派遣労働法改正」とは、日本企業を掌握した多国籍資本の謀略なのであり、労働者の非正規化により搾取した賃金を、そのまま企業利益と株式配当へ付け替えるという方法論に他ならない。つまり、この国は労働者を外国人に売り渡している。

労働者の賃金はそれより年間30兆円ベースで減少しているのだが、主用企業の役員報酬および株式配当は2倍以上に達しているのであり、搾取された金の全額が支配者の利潤と巨額な内部留保に置換されているわけだ。そのうえ、資本金1億円以上を擁するこれら企業群の60%以上は法人税すらも払っていない。

デフレ対策として日銀に紙幣を増刷させろというバカが多いのだけれど、このように国民消費へ金が回らない構造、つまり「新自由主義の過剰資本蓄積」という概念を理解していないのだと思う。

通貨は希釈され、資産は揮発するのであり、不合理なマネーサプライは投機資本となり、世界恐慌と同じメカニズム(前年比25%増となる過剰な通貨供給がバブルを発生させた)により金融市場を破壊するだろう。

非正規就労は賃金の減少に止まらず、社会保障費や生活保護費による国庫の圧迫、少子化、教育格差、貧困の世代間連鎖、内需縮小によるデフレ、それによる倒産、失業、税収の枯渇、財政破綻に直結することは中南米諸国が実証していることだ。

あらためてこの国はレッセフェール(無軌道経済)の第3次的政策を推進しているのだが、市場原理主義に経済市場を委ねて成功したモデルケースなど地球上に存在しない。

経団連イカレタ老人達は「TPPによってアジアの成長を取り込む」などと妄言を吐いているのだけれど、大戦後におけるアジア地域の経済成長は自由貿易ではなく、その対極である徹底した保護主義によるものだ。

主導する米国ですら教育、医療、福祉、雇用、経済など全分野において破綻しているのであり、金融覇権を自負しながら財政法の上限まで公債を発行し、キャッシュフローにおいてはすでに崩壊している。

米国の元首が「アジア太平洋地域から国益を得る」と公言しているのだから、TPPの本質が自国経済の行き詰まりを他国の市場侵略によって解消するという剥き出しのImperialism(帝国主義)であることは明らかだ。残された医療、保険、食料市場の制圧によって支配は完成されるだろう。

新たな政治集団も早々に教育、医療、さらには生活保護費など福祉の削減に着手しているのだが、抑制された社会資本は国庫にプールされるのではなく、優遇税制などにより多国籍企業の利潤として付与されることは語るまでも無いのであり、むしろ歪な傾斜配分と略奪性こそがイズムの本質であるわけだ。

「電撃作戦を仕掛けること。国民が権利を守ろうとして団結する前に変化を起こす方法はそれしかない」