このデフレ不景気の中で、何をそんなに急いで消費税を上げる必要があるのか。  岡留安則の「東京-沖縄-アジア」幻視行日記

■6月某日 沖縄戦が実質的に終了したのが、1945年6月23日だった。牛島満司令官が自決したことで組織的な戦闘が終わったとされた日である。糸満市にある平和記念公園内の「平和の礎」には戦時中に犠牲となった軍民20数万人の墓碑銘が刻まれている。毎年、全国放送で中継される恒例の式典には歴代の総理大臣が参加している。歴史の記憶を長くとどめるためにも、戦争の犠牲者を追悼することは大事だが、この式典会場のある沖縄では、敗戦直後から沖縄を統治してきた米軍の占領が連綿と続いている。沖縄占領から67年、「本土復帰」から40年経つものの、沖縄に過重に押し付けられた米軍基地の負担軽減はいまだに行われていない。いや、それどころか、事故が多発することで有名な垂直離着陸機輸送機MV22が、普天間基地だけではなく、沖縄本島全部に配備されようとしている。米軍は民間人の住む沖縄を軍事訓練の場くらいにしか思っていないのではないか。少なくとも、ハワイや米国本土に配備されるオスプレイは人家のない広大な空間で訓練しているのに、沖縄は甘く見られたものだ。
  ただし、今回のオスプレイ配備は、辺野古基地への移設以上に県民の反対が多い。いや、賛成だという県民はほとんどいないはずだ。にもかかわらず、米国の上位下達の指令に日本政府も防衛・外務省も抗し切れるのか。これまでの政府による沖縄対策を見ていれば、おそらく、なんだかんだと最終的に米国側に押し切られる可能性が強い。しかし、そうなれば、沖縄県民の対米・対日関係は最悪の時代を迎えることになる。復帰直前に盛り上がったコザ暴動のような反米闘争が自然発生的に盛り上がるかもしれない。慰霊の日の前日、TBSラジオの生放送で20分くらいの電話インタビューでオスプレイ問題を発信する。
 それはともかく、政府といっても政権党の民主党内も分裂寸前の様相を呈している。もともとの原因は野田総理が消費税増税に政治生命を賭けると宣言したことがすべての始まりだった。財務省に洗脳された、野田総理、岡田副総理、前原政調会長、仙谷政調会長代行、安住財務大臣、藤井元財務大臣、樽床幹事長代行らが主犯組である。他にも小宮山厚生労働大臣、長妻元厚労省らも結果的に同罪である。このデフレ不景気の中で、何をそんなに急いで消費税を上げる必要があるのか。こうした消費税増税派は何一つ国民に理解してもらう努力もしないで、一部の民主党執行部派と自民・公明が野合して方向付けをしただけの悪法である。せめて、民主主義的手法は大前提のはずであり、「前原一任」などという強引なやり方は民主主義ではなく、ファシズムの手法である。こんな大事なことは解散総選挙で国民の民意を問うべきが大前提である。
 消費税増税だけではなく、大飯原発の再稼働や、オスプレイの配備しかり。まさに野田政権の独断専行政治である。こうした政策は民主党の結党精神をかなぐり捨てた、反国民的な手法である。もしこのまま、消費税増税の国会採決が強行されれば、民主党内の消費税反対派は、除名覚悟で反対票を投ずるはずだ。その数によっては、民主党執行部は最大与党の座も失いかねないし、新たな新党が結成されるかもしれない。もはや、野田政権派と小沢元代表派の亀裂は修復不能と断言してもいい。小沢元代表には、ぜひとも、最後の勝負を仕掛けて欲しいところだ。確実なことは、小沢氏なくして民主党政権交代はなかったし、何よりも政権交代の理念「国民の生活が第一」も生まれなかったという事実だ。これまでの日本の政治を根底的にダメにした「官僚内閣制」を支えてきた自民・公明、そして、野田・仙谷らの既得権益に依存する連中から権力を奪還すべし、である。本家は反消費税派にあり、国民もそちらを支持するはずだ。悲しい事実だが、大手メディアはほとんど反小沢・消費是増税派である。慰霊の日とオスプレイ強行配備が、あらたな日本づくりのスタートになることを切に祈りたい。同時に戦争犠牲者に合掌!

2012.06.23