情けない永田町 岡留安則の「東京-沖縄-アジア」幻視行日記

■6月某日 沖縄で県議会選挙が開かれた。全国的にはどうということもない一県内の議会選挙だが、やはり沖縄は中央政治に多大の影響を受ける要素がある。特に、普天間基地の移設問題やMV22垂直離着陸・オスプレイの配備問題があるからだ。しかし、今回の県議会選挙では、いわゆる保守系も革新系も普天間基地の県外移設を主張しており、オスプレイ配備に関しては双方ともに普天間配備に反対している。したがって、今回は米軍基地絡みの問題は争点にならず、投票率は52・49%と復帰以来最低を記録した。したがって、自民・公明が推薦してきた二期目の仲井真知事県政与党は前回より一議席減らし21議席しか取れなかった。逆に仲井真県政の野党及び中間派は27議席を獲得し、県政における与野党逆転はならなかった。一部で懸念された、辺野古新基地建設のための公有水面埋め立て許可を出す県知事にも県民意志というプレッシャーがかけられることになるだろう。政府側も、この県知事選の結果を無視することは出来ないはずだ。
 今回の県知事選でもっとも注目すべきは民主党沖縄県連の惨敗である。新垣県連代表は3名定員の選挙区で、かろうじて3位で滑り込みセーフ。開票途中では落選の可能性も取りざたされたほどの苦戦だった。もう一人の現職県議だった上里直司政調会長那覇市選挙区で定数11の所で、最下位の一つ前の次点12位で落選した。これは、沖縄にとっても、民主党にとっても衝撃的事実だった。上里氏は前回の那覇市選挙区でトップ当選を果たした人物だ。明大卒業後、仙谷由人議員の秘書となり、その後松下政経塾に。那覇市議から沖縄県議と順調にステップアップし、いずれは国政にも打って出る若手のホープといわれていた。この事実は、上里氏の慢心とかのレベルではなく、民主党本部がことごとく公約を破り、県民を裏切った結果が選挙に反映したものと思われる。しかも、その張本人は、野田総理ではなく、上里氏がかつてつかえた仙谷政調会長代行だった。大飯原発の再稼働も、消費税増税の自民・公明との野合路線、辺野古新基地建設も仙谷代行が黒幕だった。そのとばっちりをモロに受けたのではないか。民主党は今回新たに浦添市議の又吉健太郎氏を新人県議候補として打ち出したが、最下位で惨敗。逆に民主党に見切りをつけて無所属で出馬した山内末子議員は見事に当選を果たした。
 こうした民主党絡みの選挙結果を見れば、民主党本部の迷走、路線転換によって、政権交代時の民主党への風は完全にやんだことが分かる。政治における風の強さと風の弱さを全国に先駆けて示した選挙結果といえる。実際、民主党沖縄県連は普天間基地の県外移設を主張しつつも、仲井真知事に対しては是々非々で与党的立場をとってきたことも、県民に不信感を与えたのかも知れない。罪作りな民主党政権交代とそれをぶち壊した仙谷政調会長代理の責任は重大である。県議選では自民党系議員13人の当選、民主党はわずか1人という結果が、象徴的ではないのか。
 国会では、参考人で呼ばれた石原都知事尖閣買取問題で吠えまくりつつ、民主党執行部は大飯原発の長期にわたる再稼働を画策したり、何が何でも消費税増税を強行したり、国民の意志を無視した暴政が続いている。民主党の暴政が、自民党復権を許すとなれば、この国の官僚主導の「官僚内閣制」は永遠に続くことになるだろう。もはや、消費税増税反対の小沢一郎派の強い結束にに期待するしかない。嗚呼!というしかない、情けない永田町だ。
2012.06.11