財務省は裏特高 言論封じは暴対法・条例のみにあらず、国税・税務調査の実態

*既に多くのネットメディアで報じられていることだが、今夜は民主党の“消費増税法案”に関する事案を検討していく間に垣間見た、財務省の消費増税に対する異様な執着である。その様は、財務省記者クラブを通じたマスメディアへの言論封じは当然の事で、学界、経済界、金融関係へと。最近では、ネットメディアに対しても、相応の邪魔立てをするに至っているようだ。 

*その弾圧手法は蟻の隙間もないほど“微に入り細をうがつ”状況だ。凶暴なシロアリが、善良な国民・政治家・メディア・学者等々の働きアリを狡猾な罠にかけ、喰い尽しているようだ。このような現象を、単に財務省が己の財布を膨らましたいがための愚挙、と笑っていられない隠れた事実関係が数多存在する事を見逃してはならない。例示をするにも、あまりにも心当たりが多過ぎて、書く気にもならないが書かない事には始まらないので、直近の話題を取り上げておく。先ずは、話題の取っ掛かりとして、現代ビジネスの中日・東京新聞にまつわる、税務調査の記事を読んでいただこう。 

≪ 国税東京新聞を徹底調査する「理由」
  通常国会で消費税増税についての論戦が本格化するなか、永田町と目と鼻の先にある日比谷公園前のビルでは、まったく別の緊張感高まる事態が起きていた。 「昨年夏から半年近くもの長きにわたって、中日新聞グループに名古屋国税局と東京国税局を中心とした大規模な税務調査が入っています。そうした中で東京新聞中日新聞東京本社)が税務調査に入っている国税官から資料分析のために一部屋要求されたため、一部の社員の間では、東京での〝本格調査〟が行われるのではと緊張が走ったようです」(同社関係者) 
 複数の同社関係者によると、今回の国税当局の徹底調査ぶりは異常で、同社記者らが取材相手との「打ち合わせ」や「取材懇談」に使った飲食費を経費処理した領収書を大量に漁り、社員同士で飲み食いしていた事例がないかなどをしらみつぶしに調べているという。 「実際に取材相手と飲食したのかどうか飲食店まで確認が及び、名古屋ではすでに社員同士で飲み食いしていた事例が見つかったようだ。一方で『これでは取材源の秘匿が危機にさらされる』と一部では問題視されてもいる」(同前) 
 ここ数年、大手紙のほか、民放各局、出版社などが相次いで国税の税務調査を受けていることから、「たんに順番が回ってきただけ」と意に介さない向きもあるが、 「中日新聞グループは、野田政権がおし進める消費税増税に対して反対の論陣をはる最右翼。今回の徹底調査の裏には、国税財務省側の『牽制球』『嫌がらせ』の意図が透けて見える」、との見方も出ている。 
 事実、中日・東京新聞は「野田改造内閣が発足 増税前にやるべきこと」(1月14日)、「出先機関改革実現なくして増税なし」(1月30日)などの見出しで社説を展開、「予算が足りず、消費税率を引き上げると言われても、死力を尽くした後でなければ、納得がいかない」などと強く主張し、新規の読者も増やしてきた。それが今回の国税側の〝徹底攻撃〟で、筆を曲げることにならないといいのだが。≫(現代ビジネス:永田町ディープスロート) 

*そもそも、日本のマスメディアが毎日、朝夕と膨大な政治・経済・社会面の情報で紙面を埋めるためには、誰かから情報をまとめて入手し、購読者にジャーナリストの魂などに関わりなく、まとめた情報を垂れ流さないことには、人手が幾らあっても足りないと云うのが現実だろう。しかし、新聞社の利便性のために、購読者が政権や関係各省の意図する情報を記者クラブと云う最悪の“村”を通じて、魂なき“金太郎アメ記事”を読まされるのは、如何にも大政翼賛に馴染みやすい“空気の国家”日の沈む国ジャパンである。 

*国家、政府の壁新聞と化した、朝日、読売、日経、毎日、産経が報道する情報の真偽は、それぞれの国民の知識教養で読み解き直し、意訳する必要があるのだ。ホンモノはスポーツ欄と番組表や株価くらいのものだろう。最近は芸能文化医療にも怪しい記事が散見している。読者と云うか国民は、記者クラブのある関係省庁関連の記事には、すべてにバイアスが掛けられていると認識せざるを得ないのが現状だ。せめて、米国レベルにメディアの色分けが必要なのだが、未だに収斂していない。どこまで日本国民をバカにしているのか、気づいても良さそうな頃である。既に、多くの国民に各新聞社の記者連中などは、馬鹿にし軽蔑する存在になりかけている事実を深く感じるべきだろう。 

*このような状況において、中日・東京新聞は骨がある。なにも長谷川幸洋ひとりが頑張っているからではない。全社一丸となり、何とかジャーナリスト・メディアとしての生き残りをかけている。最近では、コンビニでも東京新聞の購入が可能になり、凄く便利だ。たしかこの新聞社は、小沢の政治資金捜査の時も、東京地検特捜部の意にそわない記事を書いたと云う理由で、検察記者クラブを名誉の“出入り禁止”にされた事もある。常に原発問題でも、脱原発の論調を張り、原発推進派の怒りを買っているし、日米同盟においても、米国の言いなりになっていてどうすると云う論調を張っている。 

*日本のマスメディアには、この新聞社としての軸となる色彩がない事が問題だ。営業を重んじ過ぎ、あまねく購読層に受け入れられる論調、或いは広告料に縋りつく新聞発行は、メディアとしての意味をなさない。日経や朝日が電子新聞にトライしているが、どうにも旨く行っていない。日経など、登録するとストーカー並にスパムメールを送りつけてくる。どうもみても、ネット新聞が売れていない証拠なのだろう。 

*寄り道の方が主になったが、財務省は今回の消費増税に関して、2007年から08年にかけて、消費増税路線を明確にした。その方向性として、小沢民主党と福田自民党の連立を財務省自らが裏で画策した事実がある。この流れが、飛んで飛んで、野田民主党、谷垣自民党で再燃したことになる。その4~5年間、消費増税路線の中核にいたのが勝財務次官である。その直属の部下が財務省官房長の香川俊介だ。この男が今回のメディアスクラムから、国税庁資料調査課の動きまでコントロールしているものと推認できる。官房長とは、席次でいうと曖昧だが、事務次官の次の地位で局長より一段上の印象を持つ役職だ。 

*筆者の記憶によれば、この香川俊介は一時期、当時民主党幹事長だった小沢一郎との蜜月もあったわけで、今回の消費増税で不仲になったのかどうかは判然としない。もしかすると、野田による消費増税はまかりならぬが、俺の代になったら考えてやる位の話が通じる仲の筈だが、その辺がどうなっているのか見当もつかない。いずれにせよ、小沢一郎は、現時点での増税に断固反対なのは周知の事である。いい加減のところで、鉾をおさめた方が、あらためて日の目を見る事が可能な消費税問題ではなかろうか。世論を追い詰め、二度と法案化出来ない危険すら感じる。 

財務省国税マッチポンプで、マスメディアは日替わりではないが、期替わりで痛い目に遭わされている。朝日は09年に5億1800万円の申告漏れを指摘され、同年読売は2億7000万円の申告漏れを指摘された。日テレ、フジテレビ、NHKも税務調査で夫々痛い目に遭わされている。読売はなんと、前事務次官丹呉泰健監査役に迎え、恭順の意を現し、朝日も「増税礼賛」で恭順の意を現している。産経、毎日は税務調査して吐き出させる銭もなさそうなので、見送ったかもしれない。(笑)

*この流れで、中日・東京新聞も順送りでの税務調査とも言えるが、異様に調査が長期にわたっている。ここが怪しい。消費増税への論調を賛成又は中立に戻すまで居座り、ほじくり回す恫喝行動に出ているのかもしれない。脱原発論調分、日米同盟疑問符論調分等と、ノルマを抱えての居座りかもしれない。国税の調査と云うものは、警察・検察に継ぐ国家の暴力装置であり(今では検察審査会暴力装置に加える事が可能だ)、その暴力装置を国家の財政と云う財布を独り占めしている財務省と云う役人達に握らせている構造そのものが危険国家なのではないのだろうか。民主党が09年マニュフェストで唱えた「歳入庁」の創設と財務省から国税庁と云う暴力装置の排除が急がれる。

世相を斬る あいば達也