岡留安則の「東京-沖縄-アジア」幻視行日記 2011.08.25

■8月某日 民主党代表選は前原誠司前外相が予想通り立候補を表明した。ここ数日のうちに、新代表=新総理が決まるのだろうが、政治的取引、駆け引きが活発化している。中でも、まさかと思ったのが、前原と野田の二人を両天秤にかけて最終的には前原一本化を目指す黒幕・仙谷由人が、小沢一郎に会って、「挙党一致」を持ちかけたことだ。あれだけ、小沢嫌い、排除を進めてきた張本人の黒幕・仙谷が、勝つためには恥も外聞も捨てる鉄面皮ぶりには驚かされた。ま、仙谷といえば総会屋の故・小川薫とつるむような人間だから、本人はそれも権謀術数としては当然ぐらいに思っているのだろう。その後、小沢嫌いの前原氏まで小沢氏と面談した。その10分会談の内容は知る由もないが、小沢氏にすれば、何をいまさらという強い怒りがあったはずだ。それでも、権力を握るためには、「悪魔とでも手を結ぶ」という永田町流儀は今でも生きているのだろうか。だとすれば被災者や国民のための政治ではなく、自分たちの権力を掌握することが最大の目的という本性の表れではないか。その心根が透けて見えるようでは、政治不信は強まるばかりだろう。最後のあがきを見せるリビアカダフィ大佐もこうした権力の魔力に取り込まれたクチだろう。やはり、権力=魔物だということか。
それはともかく、野田氏が立候補にあくまでも固執すれば、代表選も混戦模様になるはずだ。逆に、ここで野田氏が引き下がれば、政治生命はこれで終わる。権謀術数だけの仙谷路線は絶対に支持できない筆者の立場にしてみれば、野次馬的に面白い展開になってきた。いっそ共倒れして、消費税増税原発推進民主党公約撤回も潰れて欲しい気分だ。一方、野田―前原ラインとは一線を敷く、他の候補もイマイチ魅力に乏しい顔ぶればかり。ホントに玉が悪い。代表選のキャスティングボードを握る小沢一郎が「ベストでなくてもベターの選択がある」と語ったとされるが、ここで小沢グループが独自候補の擁立を見送って、前原―仙谷ラインと野合すれば、民主党も終わりだろう。小沢一郎を巻き込んで前原が仮に代表になれば、形だけの挙党体制はつくっても、最終的には小沢排除に走るはずだ。ならば、小沢も迎合路線ではなく、口先だけの前原に騙される前に、対立軸を明確にし候補者を出してとことん勝負すべきではないのか。必ず五分五分以上の戦いに持ち込めるはずだ。
永田町で蠢く政治家たちの決断力のなさ、不実さを見ていると、島田伸助の潔い引退表明の方がはるかに立派に見える。警察に暴力団との交友情報をつかまれた以上、吉本興業としては会社組織を守り抜くために、あえて島田紳助に詰め腹を切らせたのではないか。島田紳助だって、渡辺二郎暴力団と深くつながっていることを知らなかったはずがない。それでも、自分としては「アウトではなくセーフ」だと思っていたというのだから、やはり芸能人は一般常識とは大きくズレている。むろん、ズレているのは,紳助だけではなく、吉本興業じたいもそうである。吉本興業だけではなく、バーニング・プロやジャニーズ事務所にしても周辺には自薦他薦の用心棒的暴力団関係者がウヨウヨしている。国際政治から芸能界までをターゲットにしてきたウワシン元編集長がいうのだから間違いない(苦笑)。芸能界の興業は昔からヤクザとの共存関係で成立してきた歴史をいまさら紐解くまでもない。
島田紳助には吉本興業の女性社員に暴力をふるって謹慎期間を過ごした過去もあり、今回は暴力団との交友の物的証拠まで挙がっている以上、言い訳はきかないだろう。しかし、通常は謹慎程度で済ませるのがこの業界の常識だろう。しかし、今回は引退という選択肢を突きつけられた。その背景はいずれ判明するだろうが、どこか不可解である。ま、紳助は石垣島でも店を開いており、沖縄本島にも不動産を所有しているとの噂もある。財テクに対する興味も旺盛だから、これまでの稼ぎから見れば、引退しても経済的に困ることはあるまい。ただ、紳助のバイタリティと才能には捨てがたいものがあるだけに、しばらく休養したら政界への転出もいいのではないか。芸能界から政治家への転身ルートには実績もあるし、伸助ならば盤石だろう。紳助ほどの決断力もなく、暴力団との交友のある政治家はいくらでもいるのだから、まったく「ノープロブレム」ではないか。

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