玄泉尽きざる如く

 『玄泉尽きざる如く』    
文は人なり書もまた人なり
その人の習練一切が現れる
その人の志望一切が現れる
 その人が滋味優美であれば
 その人が準拠端正であれば
 その作は鏡の如くに現わす
道の厳しさは諸芸に通じるが
道の喜びも又尽きる事が無い
玄々たる泉が尽きないように
 
[玄泉尽きざる如く] 文も書もその人を現すと言われる。文も書も書く事を通して作品化する。もし作品としないならば観念の甘さに止まる。形に現して初めて判断の対象になる。人もその行動を通してこそ評価されるものである。
   『人は自己評価しつつ生き生きと生きる』
 人が生き生きと生きるという事は、種々に思い、その思いを行動してゆく事である。深い泉が湧き続けて尽きることが無いように、人の思いも行動も尽きる事がないのが本来の在り方である。生命が停滞するという事はないからだ。            田辺聖恵