土俵の上

    『土俵の上』        
千代の富士のすごい九六七勝
あの小柄さで大ものを投げる
何とも小気味のいい相撲振り
 心技体と相撲界ではよく言うが
 この三つとも鍛えぬいた結果が
 土俵の上で待ったなしに現れる
才能特質があるには違いないが
それ以上の努力があるからこそ
国民栄誉賞が横綱の頭上に輝く
              
[土俵の上] 時間一杯待った無し。思い切って出る。何のスポ−ツでもこの出足が肝心ではあるが、相撲はまた格別。立ち上がった瞬間に勝負がつくという事もままある。何分にもあの狭い土俵での精一杯の集中力がものを言う。
     『相撲の妙味は思い切りの良さ』
 二時間も三時間もかかるような野球やテニスなどに比べて、相撲は一分もかからない事が多い。技よりも体力がものを言うような外国の競技に比べると、相撲や剣道は瞬間的な集中、つまり精神力が一番ものを言うようである。              田辺聖恵